在庫を持ちすぎる会社の資金繰りが苦しい理由|「適正在庫」を見つける数字の出し方
在庫が多いと黒字なのにお金がない状態に陥りがち。在庫回転率や発注点の考え方、過剰在庫の現金化のコツまで、適正在庫の見つけ方をやさしく解説します。
「決算は黒字なのに、なぜか手元のお金が増えない」「なんとなく不安で、つい多めに仕入れてしまう」——そんなモヤモヤを抱えていませんか。実はその原因、倉庫やバックヤードに眠っている過剰在庫かもしれません。本記事では、在庫を持ちすぎると資金繰りが苦しくなる仕組みから、自社にとっての「適正在庫」を数字で見つける方法、過剰在庫を現金に変えるコツまで、現場目線でやさしく解説します。
こんにちは、町の経営アドバイザー・たぬき先生だぽん。今日は「在庫とお金」の関係を、できるだけ数字でスッキリ整理していくよ。難しい計算は出てこないから安心してね。
在庫は「お金が形を変えて眠っている状態」です。多すぎると、利益が出ていても現金が足りなくなります。在庫回転率で自社の状態を把握し、発注点を決めて仕入れすぎを防ぎ、動かない在庫は早めに現金化する——この3つで資金繰りはぐっとラクになります。数字はあくまで目安として、自社の実情に合わせて調整しましょう。
1黒字なのにお金がない、その正体は在庫
「利益は出ているのに、通帳の残高が増えない」。中小企業や個人事業主の方からよく聞くお悩みです。原因はいくつかありますが、見落とされがちなのが在庫の持ちすぎです。
会計の世界では、仕入れた商品が売れずに残っているうちは「費用(経費)」にはなりません。売れて初めて「売上原価」として費用になります。つまり、仕入れに使ったお金は出ていったのに、利益の計算上はマイナスにならない。だから帳簿は黒字でも、現金は商品という形でロックされたままなのです。
在庫はね、「冷蔵庫の奥でカチコチに凍った現金」みたいなものなんだ。あるのに使えない。だから持ちすぎると、いざという時に困っちゃうんだぽん。
2在庫が資金繰りを苦しめる3つの理由
「在庫があると安心」という気持ちはよく分かります。でも、多すぎる在庫には見えにくいコストがついて回ります。主に次の3つです。
- 資金が寝てしまう:仕入れに使ったお金が、売れるまで戻ってこない
- 保管コストがかかる:倉庫代、光熱費、管理の手間など
- 劣化・陳腐化のリスク:賞味期限切れ、型落ち、流行遅れで価値が下がる
とくに怖いのが3つ目です。仕入れた時は売れる予定だった商品も、時間が経つと値下げしないと動かなくなります。「持っているだけで損が膨らむ」のが過剰在庫のやっかいなところです。
さらに、仕入れに現金を使いすぎると、家賃や給料、税金の支払いに回すお金が足りなくなります。これがいわゆる「黒字倒産」につながる典型的なパターンです。
3在庫回転率で自社の状態をチェックする
自社の在庫が多いか少ないかを感覚で判断するのは危険です。そこで使うのが在庫回転率という指標。これは「在庫が一定期間で何回入れ替わったか」を表す数字です。
在庫回転率 = 年間の売上原価 ÷ 平均在庫金額
例:年間の売上原価が1,200万円、平均在庫が200万円なら、1,200 ÷ 200 = 6回転。1年で在庫が6回入れ替わった、という意味です。
数字が大きいほど在庫がスムーズに売れて現金に変わっている、つまり効率がよい状態です。逆に回転率が低い(数字が小さい)と、在庫が動かず資金が眠っているサインです。
もうひとつ分かりやすいのが「在庫日数」。365日 ÷ 在庫回転率で計算すると、「今の在庫が何日分あるか」が見えます。6回転なら約61日分。これが業界の平均より長いなら、持ちすぎを疑いましょう。
適正な回転率は業種でぜんぜん違うよ。生鮮を扱うお店と、家具屋さんでは事情が違うからね。まずは去年と今年の自社の数字を比べて、「悪くなってないか」を見るだけでも十分なスタートだぽん。
4発注点の決め方|いつ・どれだけ仕入れる?
「なんとなく多めに」をやめるには、発注点(はっちゅうてん)を決めておくのが効果的です。発注点とは「在庫がこの数まで減ったら発注する」というラインのこと。これを決めておけば、不安で仕入れすぎることも、品切れで売り逃すこともグッと減ります。
1日あたりの平均販売数を出す
過去のデータから、その商品が1日に何個売れているかをざっくり把握します。
リードタイムを確認する
発注してから商品が届くまでの日数(リードタイム)を調べます。仮に5日かかるとします。
発注点を計算する
「1日の販売数 × リードタイム + 安全在庫」が発注点。1日2個・リードタイム5日・安全在庫4個なら、2×5+4=14個になったら発注、という具合です。
「安全在庫」は、急に売れたり納品が遅れたりした時のための予備です。多すぎると過剰在庫の原因になるので、最初は少なめにして様子を見ましょう。
全商品を細かく管理するのは大変です。売上の大きい商品(Aランク)だけ重点的に発注点を管理し、売れ筋でない商品は大まかに、とメリハリをつけると現実的に回せます。
5過剰在庫を現金化する処分のコツ
すでに抱えてしまった動かない在庫は、思い切って現金に変えるのが基本です。「いつか売れるかも」と置いておくほど、保管コストと劣化で価値は下がっていきます。
- セール・値引き:原価割れでも、寝かせるより現金化を優先する場面はあります
- セット販売・抱き合わせ:売れ筋商品と組み合わせて動かす
- ネット販売・フリマアプリの活用:店頭で動かない物も別ルートなら売れることがあります
- 在庫買取業者への売却:手間をかけずまとめて現金化したいとき
「赤字で売るのは悔しい」という気持ちは分かりますが、動かない在庫は、すでに損失が確定しかけているお金です。早く現金に戻して、回転する商品の仕入れや支払いに充てるほうが、会社全体としては得をします。
処分するときは「いくらまでなら値下げしてOK」というラインを先に決めておくといいよ。ズルズル迷うのが一番もったいないからね。決算前に整理すると、節税につながる場合もあるから税理士さんに相談してみてだぽん。
6季節変動への備え方
季節商品やイベント需要がある業種では、「繁忙期に向けて仕入れる」のは当然です。ただ、ここでも過剰に持ちすぎると、シーズンが終わったとたんに大量の売れ残りを抱えることになります。
ポイントは「過去の実績データに基づいて読む」こと。去年の同時期にどれだけ売れたか、いつから動き出していつ止まったかを記録しておくと、翌年の仕入れ計画がぐっと正確になります。
- ピークの数量を一度に持たず、追加発注できる仕入れ先を確保しておく
- シーズン後半は早めに値引きして売り切る計画を立てる
- 翌年に持ち越せる商品か、持ち越せない商品かを分けて考える
仕入れ先と相談して「小ロットで複数回」発注できる体制を作れれば、一度に大量に抱えるリスクを減らせます。資金繰りの観点では、まとめ買いの割引よりも現金を寝かせないことを優先したい場面も多いものです。
7よくある質問(FAQ)
8まとめ:在庫は「持つ量」より「回す速さ」
- 在庫は「形を変えて眠っている現金」。多すぎると黒字でもお金が足りなくなる
- 在庫回転率・在庫日数で自社の状態を数字で把握する
- 発注点を決めれば「なんとなく多めに仕入れる」を防げる
- 動かない在庫は早めに現金化し、回転する商品に再投資する
- 季節商品は過去データをもとに、小ロット・複数回の仕入れでリスクを抑える
- 制度や税務の扱いは変わりやすいので、最新情報は公式や専門家で確認を
「在庫を減らす」と聞くと不安になるけど、目指すのは
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