赤字でも使える賃上げ促進税制|繰越控除で負担を減らす活用手順
赤字企業でも賃上げ促進税制の繰越控除で恩恵を受けられます。対象になる賃上げの範囲や上乗せ条件、申告手続きの流れをやさしく手順化して解説します。
最低賃金が過去最大の引き上げとなり、「人件費が上がるのに、うちは赤字だから税金の優遇なんて関係ない」とあきらめていませんか。実は、令和6年度の改正で中小企業向けに繰越控除という仕組みが加わり、赤字の年でも将来の黒字に向けて優遇を持ち越せるようになりました。この記事では、賃上げ促進税制の基本から、対象になる賃上げの範囲、控除率を上乗せする条件、申告での手続きの流れまでを、専門用語をかみ砕いて手順でお伝えします。
こんにちは、町の経営アドバイザー・たぬき先生だぽん。「賃上げと税金」って難しそうだけど、ひとつずつほどけば大丈夫。一緒に見ていこう。
賃上げ促進税制は、従業員の給与を前年より増やした企業の税金を一定割合で減らす制度です。令和6年度の改正で中小企業には最大5年間の繰越控除が認められ、赤字で控除を使い切れなくても将来の黒字年に持ち越せるようになりました。赤字でも「賃上げの実績」を記録・申告しておくことが大切です。制度の細かい数字は変わりやすいので、最新は必ず公式(経済産業省・国税庁)で確認しましょう。
1賃上げ促進税制とは何か
賃上げ促進税制は、ざっくり言うと「従業員のお給料を去年より増やした会社は、その増やした分の一部を法人税(個人事業主は所得税)から差し引いてあげますよ」という制度です。難しい言葉では税額控除といいますが、要するに「納める税金そのものを直接減らせる」というありがたいしくみです。
経費として認められる「損金算入」とは違い、税額控除は計算した税金から直接引けるので、節税のインパクトが大きいのが特徴です。中小企業の場合、増やした給与額の一定割合(基本部分で15%が目安)を税金から差し引けます。
損金算入=利益を減らして間接的に税金を抑える。税額控除=計算後の税金から直接引く。後者のほうが手取りへの効果が分かりやすいと覚えておきましょう。
2赤字でも使える「繰越控除」のしくみ
これまでの賃上げ促進税制には大きな弱点がありました。それは「赤字だと税金が出ないので、控除する相手がいない=恩恵ゼロ」という点です。賃上げをいちばんがんばりたい成長途中の会社ほど赤字になりやすく、制度が届きにくかったのです。
そこで令和6年度の改正で、中小企業向けに繰越控除が新設されました。これは「赤字などで今年使い切れなかった控除額を、最大5年間先まで持ち越せる」という制度です。つまり、賃上げした年が赤字でも、その実績を記録しておけば、将来黒字になったときに税金を減らせるのです。
「今は赤字だから関係ない」と捨てちゃうのはもったいないぽん。賃上げの実績は、未来へのチケットとして取っておけるんだよ。
繰越控除を使うには、控除しきれなかった年から欠かさず確定申告書に必要な明細を付け続ける必要があります。「赤字だから出さなくていいや」と申告をおろそかにすると、せっかくの持ち越し分が消えてしまうおそれがあります。
3対象になる賃上げの範囲を知る
「賃上げ」と聞くと基本給アップを思い浮かべますが、この制度で見るのは雇用者全体に支払った給与の合計額です。具体的には、国内の従業員に支払った給与・賞与などの総額が、前年度と比べてどれだけ増えたかを見ます。
中小企業の場合、判定の基本は「全雇用者の給与総額が前年度より1.5%以上増えているか」です。これを満たすと、増えた給与額の15%を税額控除できるのが基本ラインです。
- 毎月の基本給・諸手当の増額
- 賞与(ボーナス)の増額
- 新たな採用による給与総額の増加
※役員やその親族など、一部対象から外れる人がいます。最新の範囲は公式資料で確認しましょう。
ポイントは「一人ひとりの昇給」ではなく「会社全体で支払った給与の総額」で見る点です。人を増やして総額が上がった場合も対象になり得ます。
4控除率を上乗せする条件
基本の控除率に加えて、一定の条件を満たすと控除率が積み増しされ、最大で増やした給与額の45%(中小企業の場合の目安)まで控除できます。主な上乗せの柱は次の3つです。
給与をさらに大きく増やす
給与総額の伸びが一定(2.5%以上が目安)になると、控除率が上乗せされます。賃上げ幅が大きいほど優遇も厚くなるイメージです。
教育訓練に取り組む
社員研修など人材育成にかけた費用が一定以上増えると、さらに控除率が積み増しされます。スキルアップへの投資が評価されるしくみです。
子育て・女性活躍に取り組む
「くるみん」や「えるぼし」といった認定を受けていると、上乗せの対象になります。働きやすい職場づくりが優遇につながります。
上乗せの数字や条件は改正でちょこちょこ変わるんだ。だから「この記事の数字は目安」と思って、最終的には経済産業省のパンフレットや税理士さんに確認してほしいぽん。
5申告での手続きの流れ
「手続きが面倒そう」と思うかもしれませんが、補助金のように事前申請は不要です。確定申告のときにまとめて手続きする流れになります。
給与総額を集計する
当年度と前年度の、国内雇用者に支払った給与総額を計算します。給与台帳や会計ソフトのデータが役立ちます。
増加割合と控除額を計算する
前年度より何%増えたかを確認し、要件を満たすかを判定。控除率を当てはめて控除額を求めます。
申告書に明細を添付する
法人税(個人は所得税)の申告書に、所定の明細書を添えて提出します。赤字で繰り越す場合も、この明細を毎年付け続けます。
黒字の年に控除を使う
繰り越した分は、税金が出る年に差し引きます。期限内(最大5年)に使えるよう管理しておきましょう。
研修費などで控除率を上乗せする場合は、研修内容や金額が分かる書類の保存が求められます。領収書や案内を整理しておくと申告がスムーズです。
6使うときの注意点
便利な制度ですが、いくつか押さえておきたい落とし穴があります。
- 判定は「全体の給与総額」:一人だけ大きく昇給しても、退職者が出て総額が減れば要件を満たさないことがあります。
- 役員や親族は対象外:身内中心の事業所では対象になる給与が思ったより少ない場合があります。
- 繰越には継続申告が必要:赤字の年も申告を続けないと持ち越し分が消えます。
- 控除には上限:法人税額の一定割合までという上限があるため、控除額のすべてを一度に使えないこともあります。
制度の数字や条件は毎年のように見直されるから、「去年こうだった」を鵜呑みにしないこと。賃上げを決める前に、税理士さんや顧問に一声かけておくと安心だよ。
7よくある質問(FAQ)
8まとめ:赤字でもあきらめずに備えよう
- 賃上げ促進税制は、給与総額を前年より増やすと税金を直接減らせる制度
- 令和6年度改正で中小企業は最大5年の繰越控除が可能に
- 赤字でも申告を続けて賃上げ実績を残すことが大切
- 給与の伸び・教育訓練・子育て支援などで控除率が上乗せされる
- 事前申請は不要で、確定申告に明細を添えて手続きする
- 数字や条件は変わりやすいので最新は公式と専門家で確認
最低賃金の引き上げは負担に感じるけれど、制度を知っておけば未来の自分を助けてくれるぽん。まずは給与総額を去年と比べてみるところから始めよう。応援してるよ。
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